触れて思考する
学びの道の工作では、子どもが本来持っている力を引き出し、自分の強みを見出すことに重点を置きます。
多角的に思考する練習や、素材に触れて感じたこと、発見したことを子どもの自由な発想で形にしていく楽しさを手助けできればと思います。
他者との架け橋
自身の経験に由来した感情や情景を作品にすることにより、自分の中だけに留まらず他者との交流をより楽しむことができるようになります。
また作品の中で自分の活躍が社会に対してどのような価値があるのか思考できるようになると、自己と社会が相互に影響し合っていることを理解できるようになり、子ども自身の社会性の強化につながります。
工作での成長モデル
ある一人の男の子の工作の成長を5段階に分けて想定したものです。この子の興味があることは海の生き物です。
課題:生き物と自分の好きなものを合体させて、不思議な生き物を工作で作りましょう。
そして、その生き物の良いところを教えてください。(30分制作)
レベル1
素材に触れること自体を楽しむ段階。
素材を手に取り、完成へのイメージは無く衝動的に折ったり曲げたりする。
素材そのものへの興味が中心で、触れたり試したりする中で感覚を楽しむ。
素材を加工せずにそのまま貼り付ける。
立体への意識はなく平面的に組み合わせる。
講師からの質問:不思議な生き物とはどんな生き物で、どんな良いところがありますか。
男の子の回答 :おさかな。わからない。


レベル2
明確な目的はなく素材を操作することに楽しさを感じる段階。
切る、貼るなど意図的に素材の形を変える。
ハサミを使って自由に切ること自体を楽しむ。
他者から見えづらい独自の発想が加わる。(見立てる)
(スズランテープを羽と見立てる、黄色の折り紙を顔と見立てる等)
講師からの質問:不思議な生き物とはどんな生き物で、どんな良いところがありますか。
男の子の回答 :空飛ぶおさかな。空を飛んで色んな場所に行ける。

レベル3
記号表現の段階。
身近なものをイメージし形にする力がついてくる。
・「お花」「うさぎ」など、意味のあるものを作る。
折り紙などで特定の形を作り、アレンジを加える
飾りが平面的
例 紙コップに耳や目鼻口の飾りを付け、うさぎを作る。
講師からの質問:不思議な生き物とはどんな生き物で、どんな良いところがありますか。。
男の子の回答 :口を大きく開けている魚。なんでも食べられる。


レベル4
意図的な制作の段階。
作りたい完成イメージがあり、具体的に形にしようとしている。
立体的に組み合わせたり、形に意味を持たせている。
自分の空想のキャラクターや世界を創作できる。
明確な自己の欲求を作品に落とし込むことができる。
講師からの質問:不思議な生き物とはどんな生き物で、どんな良いところがありますか。
男の子の回答 :電気のパワーを持ったビリビリサメ。この世で一番強い。

レベル5
自分の得意技や好きなことをおり混ぜて制作できる段階。
素材の特性を活かしたり、工作に物理的な仕掛けを施すことができる。
作品の中で、周囲に対してどう影響するのか思考できる。
また、作品を完成させることに喜びを感じられるようになる。
講師からの質問:不思議な生き物とはどんな生き物で、どんな良いところがありますか。。
男の子の回答 :公園くじら。背中にブランコや広場があって、ヒレも滑り台になっているから、みんなで楽しく遊べる。
